続・力一杯と手一杯


 先週のコラム「力一杯と手一杯」にお二人の読者様からメッセージをいただいた。

雑感の「ライバル」も良かったと思っているが、こちらにはメッセージはなかった(笑)

※I様のメッセージ
僕は部下には『50%が自分の仕事・50%が部下の教育』と教えています。部下の教育に一番いいのは権限委譲じゃぁないでしょうか。
つまり『(部下)ツンモパン』→『(上司)リャンパン』です(笑)

僕のリャンパンは立派な教育だと思っているので。

いい上司とは、なんでもいう事を聞いてくれるいつでも助けてくれる人の事ではなくて、突き放すけど見守ってくれる人のような気がします。

この製造部長さんは、不安なんでしょうね。忙しくないと上司から評価されないのではないかと。
忙しさ=仕事ができる人の条件と思っているのかもしれない。
確かに自分でやってしまうのが楽なんですよね。

まずは、その考え方を変えてあげないと一生変わんないですね。

僕がこの製造部長にアドバイスするなら、
「あなたのやるべきことは、業務遂行ではなく業務で結果を出すことだ。」と言うかもしれない。「そのために人を育てチームとして最高の結果を出すことがあなたの仕事だ」とも。

だから我が社は部長への評価は、結果(目標と業績)という項目を60%も割り当てているんです。

それから、自分の仕事50%は職責が上がればどんどん内容が変化してきます。班長は今日の仕事でいいのですが、係長から部長に成るにしたがって明日への仕事のウエイトがどんどん増えていく仕組みにしてます。

因みに、僕の『50%自分の仕事』ウエイトは、すべて明日への仕事100%です。
だから今忙しい(笑)

I様は中国で工場を経営されている方だ。

文中の『(部下)ツンモパン』→『(上司)リャンパン』を解説しておくと、
部下が『怎么办』(zěn me bàn)どうしたら良いですか?と尋ねてたら上司は『凉拌』(liáng bàn)と答えておけと言う意味だ。
『涼拌』は元々冷菜の意味だが、『怎么办』と語呂を合わせて、「分からない」とか「さぁ」と言う意味で使う。手取り足取り教えるのが良い上司ではなく、突き放して自分で考えさせるのが良い上司と言う事だ。

彼の経営目標の中に、従業員を「考える軍団」にすると言う項目が去年から入っている。

※Y様のメッセージ
 いつもメルマガありがとうござます。
 ”力一杯と手一杯”にはグサッときました。実のところ自分自身が日々、手一杯のくせに今回このようなテーマでしたので、余裕をみせかける意味でメッセージさせていただきます(笑

いいテーマでしたので、さっそく中国人部下にも伝えようと思い、「力一杯と手いっぱい」を中国語訳を自分で調べると『全面発力と満手』。
ん~なんだかしっくりくるようなこないような・・・。
さらに英語だと・・・。日本語はやっぱりいいですね。

Y様も中国の工場にご勤務の方だ。中国人部下に直接中国語で伝えたいと言うお気持ちと、早速実行に移す所は見習いたい。

私も「力一杯」と「手一杯」の中国語訳を考えてみた。
『拼命工作』と『忙着工作』
『努力工作』と『忙手工作』

語呂を考えて○○工作となる様にしてみたが、やはり頭が日本語脳になっているのだろう(笑)中国語では上手く語呂合わせが出来ない。

正直に告白すると、前職時代私自身が「忙しい」=「充実」と言う大いなる勘違いをしていた。「手一杯」状態になっていないと不安を感じる始末(笑)先週のコラムでご紹介した携帯を耳に当てて工場内を走り回っている部長さんが他人事の様に思えない。

今指導しているこの工場では、材料や中間在庫を溜め込んで安心している董事長の心が変化して来ている。
私がいない間、改善推進リーダ(経営企画部長)が微信に上げてくる現箸写真を見ると、徐々に成果が出始めている。
くだんの製造部長さんも「手一杯病」から救ってあげられそうだ。


このコラムは、2016年6月13日に配信したメールマガジン【中国生産現場から品質改善・経営革新】第480号に掲載した記事に加筆しました。

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